#04_外交官が見た「中国人の対日観」(道上尚史)

外交官が見た「中国人の対日観」 (文春新書)

外交官が見た「中国人の対日観」 (文春新書)

北京の日本大使館にて広報文化を担当した筆者が感じた中国人の日本観。

中国旅行にて人の思いやりのなさ、細かい部分の仕事の粗雑さなど「中国恐れるに足りず」と思ったわけだが、それに対してその考えは甘いよと言われたような内容。

確かに多くのお付き合いをしたくないなと思わせる中国人がほとんどだったが、故宮で出会った上海の親子や始皇帝陵の帰りに話しかけられた北京でビジネスをしているという二人組など好奇心が旺盛で勉強熱心な中国人も当然いることは知っていたので、実はどうなのと思い読んだ本。

旅行で感じた中国が文中にそのままあり、引くと

当時の中国のイメージは「目の前に商品があっても、客に『没有(ない)』といって仲間とおしゃべりする店員」であった。社会主義で競争がない、勤労意欲も向上心もない怠慢な中国人という姿

であったが中国での鉄鋼や自動車など産業成長から分かるようにそれは違うと。でも、外交官という立場上出会う人たちは中国の中でもエリートの公務員やメディア、学生ではないのかと疑いを抱いたが、それにも回答されていて

中国には多様な姿がある。本書で紹介した学生や壮老年の識者はとても賢い人たちで、それが中国のすべてだとか、平均だとかいうわけではない。だが、例外的で孤立した存在かというと全くちがう。中国の主流を地道に担う、あるいは今後担うであろう、どこでも見られる人たちだ

という。日本を訪れた中国のエリート(分母が大きいので日本でいえばエリート中のエリート)北京四校の学生の言葉から彼らの洞察力の鋭さ、省みて自分の考えを改める柔軟性を感じる。

中国には日本をあれこれ罵る声がある。今回、実際に日本にやってきて、彼らの節約精神、団結精神、彼らの先進性を体験した。彼らを罵ることは、我々自身のレベルが低いことを示すのだと、初めてわかった

立場を返すと痛い言葉。客観的に中国ほか外国人を理解する必要があるな。中国引き続き勉強。